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前立腺がん

前立腺がんの症状チェック

初期症状は?

初期症状は?
早期の前立腺がんは、初期症状がほとんどありません。
尿が出にくい、トイレに行く回数が増加するなど併存する前立腺肥大症の症状で気づくこともあります。

進行したときの症状は?

前立腺がんは進行すると上記の初期症状に加え、血尿や、転移による症状が出てくることがあります。

痛みはどこに現れる?

前立腺がんは、リンパや血液を介して骨に転移することが多いです。
骨に転移すると、背中や腰などに痛みが現れることがあります。

前立腺がんとは

前立腺がんとは
前立腺は、男性の膀胱の下に位置し、尿道の周りを取り囲んでいます。前立腺がんとは、前立腺の細胞が正常な機能を失い、異常な細胞が増殖することで発生する疾患です。
前立腺は内腺(尿道に近い部分)と外腺(内線を取り巻くように存在する外側の部分)からなり、前立腺がんの大半は外腺に発生します。

前立腺がんの原因…前立腺がんになりやすい人は?

近年、食生活や生活環境の変化により前立腺がんになる方が増加しています。

リスク因子

リスク因子

  • 年齢
  • 家族歴
  • 脂質を多く含む食事
  • 肥満

など

前立腺がん患者が増えている理由

高齢化社会

年齢が上がるにつれて、前立腺がんになる方が増える傾向にあり、高齢化社会が前立腺がん患者が増える要因であると考えられています。

欧米化した食生活

脂質の多い食事や緑黄色野菜の摂取不足といった欧米化した食生活は、前立腺がんのリスクとなっていると考えられています。

診断技術の進歩

診断技術の進歩に伴い、前立腺がんの腫瘍マーカーであるPSA検査が普及してきました。PSAはProstate-specific antigen(前立腺特異抗原)の略語で、前立腺から分泌されるタンパク質です。他の腫瘍マーカーと比べて前立腺に特異的に上昇するため、早期に前立腺がんを発見できるようになってきました。PSAは血液検査で調べることができます。

検査・診断方法

血液検査

血液検査血液検査でPSAという腫瘍マーカーを測定します。PSAを測定することで早期にがんを発見することが可能になります。

直腸内指診

直腸内指診とは、肛門から指を入れて直腸越しの前立腺を触診し、前立腺の大きさや硬さを診断する方法です。
前立腺が硬かったり、表面に凹凸があったり、左右非対称である時に前立腺がんを疑います。
前立腺肥大症や前立腺炎との鑑別にも有用です。

超音波検査

前立腺の大きさや形を調べることができます。侵襲のない検査です。

MRI検査

PSAが高値であった時や、直腸内指診で前立腺がんを疑う所見があった時に行ないます。MRIの進歩は著しく、前立腺がんの診断に非常に有用な検査です。
当院では、MRI検査が必要な際は提携する総合病院に検査依頼をしており、患者さんの通院の便の良い施設へご紹介差し上げます。

組織検査(前立腺針生検)

組織検査(前立腺針生検)組織検査は、前立腺に直接針を刺して組織を採る検査です。
PSA値、直腸内指診、MRI検査所見などから前立腺がんの疑いがある場合、最終的な診断のために前立腺針生検を行います。方法は、麻酔を行なった後に肛門から超音波の機械を挿入し超音波画像を見ながら、腸の壁越しに針を挿入する経直腸的前立腺針生検と、会陰部の皮膚から針を挿入する経会陰的前立腺針生検の2種類があります。採取した組織を病理検査に出して、がんの有無、悪性度などを診断します。
前立腺針生検は出血や感染などの合併症が数%で起こりうるので、1泊ないし2泊の入院が必要となります。当院では、提携する総合病院の泌尿器科に前立腺針生検を依頼しており、患者さんの通院の便の良い施設へご紹介差し上げます。

治療方法

前立腺がんは、進行度や悪性度、年齢や身体の状態などによって様々な治療法があります。

監視療法

PSA値が低い、前立腺がんの進行度が早期である、前立腺針生検で発見されたがんの悪性度が低い時などに適応されます。がんに対する積極的な治療は行なわず、3-6ヶ月毎のPSA検査や、1年毎のMRI検査・前立腺針生検などで評価を行ないます。監視療法中に病勢の進行が見られれば、根治に向けた治療を開始します。監視療法により、過剰な治療や、治療よって起こりうる様々な合併症やQOLの低下を避けられます。

フォーカルセラピー(Focal therapy)

フォーカルセラピーは、がんの治療と身体の機能温存の両立を目標とする治療法です。正常な組織を可能な限り残しながらがんのみを治療するもので、高密度焦点超音波療法(HIFU)や凍結療法などがあります。しかしながら治療後の評価が難しく、治療効果に十分な根拠がないのが現状です。

手術療法(根治的前立腺全摘除術)

がんが前立腺に限局しており、転移がない場合に適応になります。手術の方法は、前立腺(及び一部の尿道)と精のうを一塊にして摘出し、その後、膀胱と尿道を繋ぎあわせるというものです。以前は開腹手術が主流でしたが、近年は手術支援ロボットの普及に伴い、ロボット手術が主流となっています。ロボット手術は、開腹手術と比べて傷口が小さくて済む、術中や術後の出血が少ないなどのメリットがあります。

放射線療法

前立腺がんで転移がない場合に適応となります。
放射線療法には外部照射療法と組織内照射療法があります。
外部照射療法は、強度変調放射線治療(IMRT)が主流となっており、高エネルギーの放射線を体外から前立腺に当ててがん細胞を死滅させる方法です。通常1日1回、週5回、6〜8週間かけて放射線を照射し、外来通院が可能です。
外部照射療法にはその他、粒子線治療(陽子線、重粒子線)などがあります。
組織内照射は、前立腺のがん付近に直接放射性物質(小線源)を入れて内側から照射し治療を行う方法です。数日間の入院が必要となります。

内分泌療法

転移のある前立腺がん、根治療法後の再発、ご高齢の患者さんなどに適応となります。

前立腺がんの細胞は、精巣や副腎から分泌されるテストステロンによって増殖します。テストステロンは約95%が精巣で、残りの5%が副腎で合成されると言われています。内分泌療法では、このテストステロンの分泌を抑えることで前立腺がんの増殖を抑制します。

LH-RHアゴニスト、アンタゴニスト

視床下部からLH-RHというホルモンが分泌され、下垂体の受容体に結合しLHというホルモンが分泌されます。これが精巣でのテストステロン分泌を促します。
LH-RHアゴニストは、LH-RHに似た構造をしており、LH-RHが下垂体の受容体に結合することを防ぐことでテストステロンの分泌を抑制します。
LH-RHアンタゴニストは、下垂体のLH-RH受容体を直接阻害しテストステロンの分泌を抑制します。

精巣摘除術(去勢術)

古くから行なわれていた治療法で、テストステロンを分泌する精巣を摘除する手術です。腰椎麻酔下に陰嚢の皮膚を切開し精巣を摘除する方法で、数日間の入院が必要となります。

抗アンドロゲン剤

前立腺がんの細胞内でテストステロンが取り込まれるのを直接阻害し、副腎から分泌されるテストステロンを抑制します。

一般的に前立腺がんの内分泌療法では、LH-RHアゴニスト、LH-RHアンタゴニストまたは精巣摘除術と抗アンドロゲン療法の併用を行い、CAB(combined androgen blockade)療法と呼びます。CAB療法は当院でも施行可能です。

近年では、様々な新規のホルモン治療薬も開発されており、治療選択肢も多岐に渡ります。

抗がん化学療法

内分泌療法が効果を示さなくなった前立腺がんに適応となります。

食べてはいけないものはある?

食べてはいけないものはある?前立腺がんは動物性の脂肪・肉類の多い欧米化した食生活で発症しやすくなると考えられています。野菜や魚、穀類を中心とした日本の食事は、がんの予防に効果があると言われています。